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ねこにうまれかわるひ


by shidainikodomo226
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船長が泣いた日

脚本解釈の期間も含めたら一体どれくらいの稽古時間をかけたのか
もはや皆目検討もつかない。

それが、上演時間約80分の2回公演、
我が劇団第3回公演「Voices」がたったの160分で終了した。

時間も人手もアホみたいにかかる上、
体力も精神力もこれでもかと搾り取られる芝居とは、
なんと贅沢で、無駄の集大成が刹那に変わる美しくも儚い文化であろう。
つーか、手間隙かかる最も非効率的な作業!
こんなシロモノに懸命になる人間とは摩訶不思議な生物だわよ。

公演初日、朝から生憎の雨。
本番1時間前、役者4人が集中する楽屋で船長が突然涙した。
「こんな雨の中、我々の芝居をわざわざ観に来てくれるお客さんの
事を考えると・・・」劇団代表で演出家で役者である船長は
感謝の気持ちで胸がいっぱいになり思わず泣いてしまった。

そのとき時間が一瞬止まったように感じた。

「船長がとちったら打ち上げの時、みんなでいじめてやろう」
などとちゃかしながらも、私の涙腺もゆるんでいた・・・
他のメンバーもきっと同じだろう。

この人は本当にいつも芝居のことを真剣に考えている。
そんなに芝居が面白いと思わない、と言いながら
その本気度と集中力はすごい。
逃げる体質と言いながらそれは一種のガス抜きで
その後の自己の追い詰め方はすさまじい。
私にはとても真似できない。

そんなゆっる~い、自分にあっま~い私でも
今回は稽古期間中、何度も泣いた。
自分の無能力ぶりが情けなく、全体の仕上がりの遅れにも繋がり
千秋楽の直前までダメ出しを受けていた。

去年7月に本公演初舞台を経験した時もかなりきつかったけど、
今から思えば好き勝手にやっていたんだなと思う。
演じる努力などしてなかったに等しい。

今回は“演じる”ってことがどーゆーことなのか否応なく考えさせられた。

ほんとに辛かった・・・実際、稽古から逃げたし・・・
いい年して稽古中にみんなの前で泣いたし・・・
制作の人と話してるときに思わず泣いちゃったこともあったし・・・
思い出すと、あの時の気持ちが蘇りまた落ち込む(笑)
本当にみんなに迷惑をかけた・・・申し訳なかったです。

それでもメンバー全員のおかげでなんとか無事、公演を終えることができた。
問題は山積みだが、ステップアップするための問題と捉えたい。
と自分に言い聞かせる。
すでに厳しい批評もいただいている。
真摯に受けとめ、問題をクリアにし、解決させることが重要なんだよね。
次回は必ず批判を賞賛に変えられるよう、今出来ることは稽古しかないのかなと思う。

所詮、私はド素人なのだ。
才能ある若い人たちと一緒に芝居を創造できる場にいられるだけで幸運なことなのだ。
それで辛いだのなんだの愚痴ってること自体がバチあたりなことなんだけどね。
でも・・・ダメだ、ダメだとメソメソしながらちょっとつづでも前に進めればいいかな・・・
私はそーゆーグシュグシュ駄目子なのです。

夕方、ポスター、DM、チラシを置かせていただいたお店に
お礼と公演無事終了のご報告にまわった。
みなさん笑顔で「良かったですね。次回も協力しますよ」と言って
くださった。ありがたいことです。
全部はまわり切れなかったので明日もがんばろう。
公演を観に来てくださった方たちにもお礼が言い切れなかったし。
自転車パンクしたし・・・それととても眠い・・・今日は全く仕事にならなかった。

感謝しなければならない方たちがたくさんいる。
今回の公演に関わってくださった全ての方々に心から
感謝します。ありがとうございました。
そしてこの「Voices」の脚本家、森谷さんにも心から感謝の気持ちと
お詫びをしたいと思います。素晴らしい作品をありがとうございました。
そして、演じきれなくて本当にすみませんでした。
船長も言ってますが、この台本は、色んな人によって色んな形で再上演
され続ける本だと思います。それを観させていただくのも楽しみにしています。

2日目公演、千秋楽は、晴れ!
本番1時間前の役者楽屋。
「船長、今日は晴れたから泣かんのんじゃな~」と止めとけばいーのに
意地悪を言うと、ツンとすまして船長は「泣かん」と言った。
暖かい気持ちになったのはきっと私だけ。船長はムッとしてた(笑)
by shidainikodomo226 | 2007-03-26 22:03 | 演劇